更新日:2014年9月18日 / 事務所便り
8月15日に中小企業庁から発表された資料(※)から、中小企業が26年度に賃金を引き上げた理由と引き上げない理由をみていきます。
65%の企業が正社員の賃金を引き上げ
この調査結果によると、回答のあった中小企業のうち、常用労働者(いわゆる正社員)1人当たり平均賃金を引き上げる/引き上げた(以下、引き上げたとする)企業の割合は、25年度の56.8%から26年度には64.5%に増加しているということです。では引き上げた理由、引き上げなかった理由にはどのようなものがあるのでしょうか。
従業員の定着のために
常用労働者の1人当たり平均賃金引き上げの主な理由をまとめると表のようになります。
主な理由として最も多かったのは従業員の定着・確保でした。回答企業の75%以上が理由としています。その一方、業績回復の還元を主な理由とした企業は30%に届かない状況となっています。
人手不足がさまざまな業種業態で顕著になっており、従業員をつなぎとめるため、新たに確保するために賃金を引き上げる企業が多くなっていることがわかります。
業績の低迷が原因
次に常用労働者の1人当たり平均賃金を引き上げない/引き上げていない主な理由をまとめると表のようになります。
こちらは業績の低迷という回答が70%を超えました。
また、賃金より従業員の雇用の維持を優先という理由も2番目に多くなっており、本当は引き下げや人員カットを行いたいという意向を持ちつつも、雇用を維持するために賃金を据え置いたという企業もあるものと思われます。
理由を説明しよう
賃金は下がるのはもちろん、上がらないことに対しても従業員が不満を持ちやすい一方、上げても満足の得られにくいものです。賃上げをした理由、しなかった理由はできる限り従業員に説明しておくことが、従業員の不満を減らすとともに職場の雰囲気を悪くさせないことにつながるでしょう。
(※)「中小企業の雇用状況に関する調査結果 集計結果の概要」
8月15日に中小企業庁から発表されました。3万社の中小企業・小規模事業者を対象に行った調査です。回答企業数は10,380社となっています。
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/koyou/2014/140815chousa.htm